33インチの大径タイヤを装着したプロポーション抜群のスポーツカーがあったなら…。 欧州メーカーが高級SUVのクーペモデルを発売していく中、ひとりのマシンビルダーの脳裏をよぎっていたのは1970年代にサファリラリーで活躍したフェアレディZや1980年代にダカールラリーで活躍したポルシェ959の存在でした。
彼の名は塙 郁夫(はなわいくお)。オフロードのスプリントレースでは国内無敵。ほぼ全て自作マシンで参戦する異色のレーシングドライバー兼マシンビルダーとして国内外に知られています。オフローダーなら誰もが憧れるアメリカの「バハ1000」に20回参戦、日本人初の完走とクラス優勝をもぎ取り、グアムのレースでも19回参戦して11回のクラス優勝を含む7度の総合優勝を成し遂げ、西海岸やグアムではよく知られた存在です。
コロナ禍で参戦レースが減っていた2020年、塙さんは温めていた計画を実行に移します。「スポーツカーに大径タイヤを履かせ、地上高をアップさせれば本気で遊べるアドベンチャーマシンになるはず」。コンセプトは「いい大人が格好良く乗れるオン・オフ両用のスポーツカー」。競技用ではなく、普段使いからアウトドア、キャンプから冠婚葬祭にも使える「ごく自然なプロポーション」が命題です。
この計画を横浜ゴムが強力にサポート、ジオランダー25周年に向けた記念プロジェクトとして同年9月に製作がスタートしました。そこからクルマが出来上がるまでを取材しています。
果たして映像で表現できているか不安ですが、実車の「Z アドベンチャー」はもう超絶、スペシャルカッコイイです。こんなクルマがもし「Z」の派生バージョンとしてディーラーに並んでいたら、もう居ても立ってもいられずに見に行くと思います。スーパーカーにワクワクしていた子供の頃の感覚が蘇るクルマです。
「二駆でオフロードを走れるのか?」「こんな大径タイヤを履いて駆動系は大丈夫なのか?」「サスペンションは、ブレーキは?」「スタックしたらどうするの?」「ラッピングってどうやるの?」という素朴な疑問にもお答えしています。少々長い映像ですが、どうぞお時間のある時にお楽しみください。
目次ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
0:00 オープニング
2:11 「Z アドベンチャー」プロジェクト始動!
5:49 前後FRPフェンダーの造形と製作
8:34 大径タイヤの装着と細部の仕上げ
ウインチ、アンダーガード、サス、ブレーキ、内装
14:02 製作者のレーサーとしての戦歴
16:33 いよいよ全パーツの組付け作業!
20:15 ラッピングファクトリーで全身カラーリング
22:37 待望のシェイクダウン
オンロード、サンド、ダート、モーグル、ロック
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取材協力:
・下館オフロードコース
住所:茨城県筑西市 茂田 ザ・ヒロサワ・シティ
TEL:0296-21-1234
・BM craft(FRP製作)
・岩渕 功尚(北米レース映像提供)
撮影:佐久間清人
撮影/編集:河村 大